コラム

2022.08.19

イベント管理/分析評価を容易にするテクノロジーツール

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「イベントテック」が盛り上がりを見せる

セミナーや展示会などのイベント運営においては、これまでもさまざまなテクノロジーツールが活用されてきました。チケット販売・決済ツールは消費者にとって身近な存在となり、運営者側の効率化を助ける参加者管理ツールも広く使われるようになっています。

 

さらにコロナ禍以降は、ウェビナーやバーチャル展示会などオンラインイベントの普及に伴い、ウェビナーの配信プラットフォームやオンラインイベント中の交流を促進するようなツールも広く活用されるように。多様な機能を統合したオールインワンのイベント管理システムも登場するなど「イベントテック」は国内外で盛り上がりを見せています。


 

データ活用によるオンラインイベント体験の評価・改善

コロナ禍当初はリアルイベント(対面イベント)の代替手段として普及したオンラインイベントですが、次第にオンラインならではのメリットも注目されています。

 

例えば、参加者はイベント中のチャットを通じて、対面より気軽に登壇者や他の参加者と双方向のコミュニケーション可能。リアルイベントとはまた違った新たな体験価値が見出されるようになっています。一方の運営者側では、オンライン上で取得したデータを活用して、イベントを客観的に評価できる点が見逃せません。参加者の属性とイベント時の行動履歴から興味関心を測って企画に活かしたり、コンテンツごとの閲覧数やダウンロード数、離脱箇所などのデータをもとに実施成果を検証したりと、より的確にイベント施策のPDCAを回せるようになっているのです。

 

今回は、こうしたメリットの最大化を助ける海外発のイベントツールの数々をご紹介しましょう。

 

シームレスなイベント運営を可能にするツール:Whova, hopin, Gather

統合的なイベント運営プラットフォームとしては「Whova」や「hopin」が代表的です。いずれもイベント運営・管理の効率化や参加者体験の向上を強みとしています。

 (参考:Whova Webサイト hopin Webサイト


これらのサービスでは、イベントの事前準備から当日のイベント実施まで、すべてプロセスをプラットフォーム上で行えます。例えば、イベントの準備段階では、アジェンダやスピーカー情報の作成、掲載や参加者管理、参加者との参加者とのやり取りまでプラットフォーム上で完結。中でも「hopin」では、イベント告知用のLPを簡単に作成できる機能も搭載されているのが特徴です。



イベント当日は、プラットフォーム上のバーチャル会場に参加者が来場し、レコーディングされた動画やライブ配信を視聴したり、資料をダウンロードしたりしてイベントに参加します。イベント中はリアルタイムの投票・集計機能や、参加者とスピーカーがディスカッションできるチャット機能を使って、インタラクティブなやり取りが可能。さらに「Whova」ではイベント交流後もプラットフォーム内で交流できるなど、シームレスなイベント体験を提供できるようになっています。

 

別の事例では、2Dドット絵のバーチャルオフィスツール「Gather」を活用したオンラインイベントがユニークです。運営側はバーチャルフィールドにテーブルやいすなどの家具を設置したり、部屋を区切ったり、装飾したりしてイベント会場を作成。参加者は自身のアバターを操作して会場内を移動し、ウェビナーなどのセッションに参加したり、ほかの参加者とビデオ通話やチャットでコミュニケーションしたりできます。まるでゲームの世界に入り込んだような、より臨場感と遊び心のあるイベント体験を提供できるでしょう。


 (参考:Gather Webサイト

これらツールの活用により、成果につながりやすい満足度の高いイベントを内製で効率的に運営しやすくなるといえます。

 

イベントの効果測定/分析を助けるツール:Bizzabo, Webex Events

イベント運営プラットフォームの中でも、データによる評価・分析に強みを持つのが「Bizzabo」や「Webex Events」といったサービスです。どちらもダッシュボード機能が充実しており、イベント実施に当たって収集したさまざまなデータを分析しやすくなっています。

(参考:Bizzabo Webサイト Webex Events Webサイト

例えば、セッションごとの出席人数や平均視聴時間、ページビューと、セッションのトピック、時間数などのデータを掛け合わせ、集客力の高いセッションの共通点を分析。次回以降の企画改善に活用できます。さらに各種コンバージョン数や収益率といったイベント施策のKPI管理も可能です。


運営者自らデータを分析してオンラインイベントを客観的に評価し、スピーディな改善へとつなげられるツール群となっています。


アフターコロナのリアルイベントをどう評価するか

以上のように、オンラインイベントの管理や運営、実施、そして分析と改善を容易にするツールが多数登場し、実際に利用されるようになっています。一方、リアルイベントにおけるテクノロジーの活用は、未だ発展途上です。客観的、定量的指標による評価が難しいリアルイベントですが、オンラインイベントと同じように参加者の行動や関心データを取得し、効果検証できるようになれば、イベント体験を次のステージへと押し上げられるでしょう。実際に2021年には、イギリス発の非営利組織「Experimental marketing measurement coalition」(体験型マーケティング測定連合)が立ち上げられ、リアルイベントの効果検証を行うツールや比較のためのベンチマークの開発が進められています。データに基づいてリアル体験を評価できる未来は、決して遠くないのです。

 (参考:「Experimental marketing measurement coalition」 Webサイト


アフターコロナ時代に向け、今後どのようなデジタルツールが開発され、リアルイベントを評価する方法論が確立されていくのか、引き続き動向に注目したいところです。


体験創造研究所
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