生成AIを始め、様々な場面で「AI(人工知能)」の活用が広がっています。
そのなかでも現在注目を集めているのが、AIを活用したマーケティングです。顧客体験の向上のためにAIをどのように活用することができるのか、海外の事例を見ながら考えていきましょう。
デジタルマーケティングにおいてAIで個別最適化した事例
デジタルマーケティング、特に広告運用における最大の課題はターゲティングです。近年では、CRMやMAツールとAIを組み合わせて活用することで、より精緻なターゲティングを行うことが可能になってきています。例えばAIで顧客データを分析して購入見込の高い顧客を把握し、優先的にDMを送るなどの事例があります。
また、見込みのあるターゲット層に対しては、最適なサービスを提供しなければなりません。活用例は以下の4つに分類することができます。
- Webサイトの閲覧履歴や購入履歴といったデータを学習させ、ターゲット層に最適な広告を配信する
- 過去の売上データやユーザーの購入履歴、競合他社の動向などのさまざまな情報を分析して市場や顧客個人の需要を予測する
- SNSでの口コミを分析し、サービスの改善に役立てる
- サービスに関する顧客の困りごとの事例を分析し、よりよいカスタマーサポートを実現する
ここで挙げたものは、一般的に活用されている事例のなかでもごく一部です。このように、デジタルマーケティングの分野においてAIが活用されている場面は多岐にわたっています。
リアルのマーケティングにAIを活用する
では、リアルでのイベントマーケティングにおいて、AIはどのように活用されているのでしょうか。
ここでは、リアルのマーケティングにおいてAIが活用された海外の事例をご紹介します。
AIでインタラクティブなイベント演出をする
まず、AIを用いたインタラクティブなイベント演出を実現した事例が挙げられます。
紹介するのは、コカ・コーラが開催したイベントです。
コカ・コーラは、新製品である「Coke Spiced」を発表するための開催イベントにて、「AIテイスティングステーション」というコーナーを設置しました。このコーナーでは、Coke Spicedを試飲した来場者が、製品に関するイメージなどの一連の質問に回答します。すると、回答結果をもとにAIが生成したファアニメーションがスクリーン上に流れ、ファンシーな空間を演出。
このイベントには2日間で4,000人以上が来場しました。
また、スーツケースブランドのAwayも同様に、生成AIを使ったイベントを実施しました。
来場者が回答した理想の旅先についてのアンケート結果をもとに、AIが現実とファンタジーを融合させた理想の旅先を生成。そのデータからポストカードを作成して配布しました。このイベントには2,000人以上が来場しました。
Away Webサイト:https://www.awaytravel.com/lp/extraordinary-is-out-there?srsltid=AfmBOorEqIghtGMEeHE5ahOJV2oDAI6SwmZIj2W4NILVKYc076voP83P
オフラインのオペレーションをAIで代替する
そのほかに、AIをイベントのオペレーションに活用した事例もあります。
プロのアメリカンフットボールリーグ「NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)」では、AIチャットボットを活用したチケット販売を開始。AIでの画像認識システムを導入してセキュリティを確保しつつ、チケット売り場の人員削減とチケットの売上増大に成功しています。ユーザーは気軽に質問や提案をすることが可能になり、収集した膨大なデータを分析することで改善すべき課題も見えてくるようになりました。
Webサイト:https://satisfilabs.com/case-studies/houston-astros/
これからのマーケティングとAI活用
本記事では、リアルのイベントマーケティングにおける海外でのAI活用事例をご紹介しました。これらの事例から、人員削減や充実したコンテンツ提供のためにAIが活用されていることが分かります。
しかし、リアルでのマーケティングにおいてAIが活用されている事例は、まだ少ないのが現状です。デジタルマーケティングのように、データを分析しターゲティングを最適化していくというAI活用方法は、業界全体で模索している段階にあると言ってよいでしょう。とはいえ、AIを用いたマーケティングの事例は、今後増えていくと考えられます。
たとえば、イギリス・ロンドンのコンサートプロモーター会社「Go To beat」は今後AIを活用してデータを分析することでチケットが完売するコンサートを制作していくことを発表しています。今後の動向に是非注目したいものです。
Go To beat社Webサイト:https://www.gotobeat.com/
今後はリアルのマーケティングにおいても、AIの活用が盛んになり、デジタルマーケティングでのAI活用と同様に、AIでデータを分析し、ターゲティングを最適化する事例が増えるのではないでしょうか。